ヴェルサイユ宮殿は、パリから日帰りで訪れることができるフランスを代表する観光名所のひとつです。
豪華な「鏡の間」や広大なフランス式庭園で知られ、世界遺産にも登録されています。
実際に観光を計画する際には、チケットの種類や所要時間、宮殿と離宮の回り方、パリからのアクセスなど、事前に知っておきたいことも多くあります。
この記事では、ヴェルサイユ宮殿の見どころをはじめ、チケットの選び方、行き方、観光に必要な所要時間まで、訪問前に知っておきたい情報を詳しくご紹介します。
ヴェルサイユ宮殿(Château de Versailles)とは

ヴェルサイユ宮殿は、パリの南西約22kmに位置するフランス王政を象徴する壮麗な宮殿です。
その起源は、1623年にルイ13世が建設した狩猟のための館にさかのぼります。
その後、息子のルイ14世が大規模な増築を進め、宮殿は王の権威と栄華を象徴する壮大な建築へと発展しました。
宮殿の建設が進められた背景には、ルイ14世が王権の強大さを示そうとしたこともあります。
当時、大蔵卿ニコラ・フーケが築いたヴォー・ル・ヴィコント城は、建築や庭園の美しさで知られていました。
この城の造営には、建築家ルイ・ル・ヴォー、庭園設計家アンドレ・ル・ノートル、画家シャルル・ル・ブランらが携わっていました。
ルイ14世は、彼らをヴェルサイユ宮殿の造営にも起用し、壮大な宮殿と庭園の整備を進めました。
こうして拡張されたヴェルサイユ宮殿は、1682年にルイ14世が宮廷と政府を移したことで、フランスの政治の中心となります。
その後、フランス革命が起こった1789年まで、王政を象徴する舞台として重要な役割を果たしました。
豪華絢爛な宮殿や広大な庭園からは、当時の宮廷文化や王権の威光を今なお感じることができます。
ヴェルサイユ宮殿と庭園は1979年にユネスコの世界遺産に登録され、現在では世界中から観光客が訪れるフランスを代表する名所となっています。
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ヴェルサイユ宮殿の営業時間・休館日
ヴェルサイユ宮殿は、季節によって営業時間が異なります。
宮殿とトリアノンの離宮は毎週月曜日が休館日ですが、庭園と公園は基本的に毎日開園しています。
それぞれ営業時間が異なるため、宮殿だけでなく庭園や離宮も訪れる場合は、事前に確認しておきましょう。
| ヴェルサイユ宮殿の営業時間 | ||
| 施設 | ハイシーズン(4月〜10月) | ローシーズン(11月〜3月) |
| 宮殿 | 9:00-18:30 | 9:00-17:30 |
| トリアノンの離宮 | 12:00-18:30※ | 12:00-17:30 |
| 庭園 | 8:00-20:30 | 8:00-18:00 |
| 公園 | 7:00-20:30 | 8:00-18:00 |
宮殿と離宮は、いずれも最終入場時刻が閉館時刻より早く設定されています。
また、宮殿と離宮は1月1日、5月1日、12月25日も休館日です。
庭園では、噴水ショーや音楽の庭園が開催される日に入場料が必要となる場合があります。
営業時間や休館日は変更されることもあるため、訪問前には公式サイトで最新情報を確認してください。
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ヴェルサイユ宮殿のチケット料金・購入方法

ヴェルサイユ宮殿のチケットは、見学する場所や訪問する季節によって種類と料金が異なります。
宮殿だけを見学する場合と庭園やトリアノンの離宮まで巡る場合では、適したチケットが異なるため、観光プランに合わせて選びましょう。
特に、4月から10月のハイシーズンは、噴水ショーや音楽の庭園の開催日に庭園への入場が有料となります。
ヴェルサイユ宮殿のチケットの種類と料金
主なチケット料金は、以下のとおりです。
| チケットの種類 | ハイシーズン(4月〜10月) | ローシーズン(11月〜3月) |
| パスポート | 35€ | 25€ |
| トリアノンの離宮 | 15€ | 15€ |
| 庭園のみ(対象日のみ) | 15€ | 無料 |
フランスおよび欧州経済領域(EEA)の国籍または居住資格を持つ方には、対象チケットの割引料金が設定されています。
パスポートはハイシーズン32€、ローシーズン22€、トリアノンの離宮は12€です。
パスポート(Passeport)
ヴェルサイユ宮殿を1日かけてじっくり観光するなら、パスポートがおすすめです。
宮殿、トリアノンの離宮、庭園など、ヴェルサイユ宮殿の敷地内にある主要施設を見学できます。
ハイシーズンの噴水ショーや音楽の庭園の開催日も庭園への入場が含まれています。
宮殿の見学には時間指定の予約が必要ですが、他の施設はそれぞれの開館時間内に見学できます。
トリアノンの離宮(Domaine de Trianon)
グラン・トリアノン、プチ・トリアノン、王妃の村里などを見学できるチケットです。
宮殿には入場せず、離宮やその庭園を中心に巡りたい方に適しています。
宮殿の見学も予定している場合は、パスポートの購入がおすすめです。
庭園のみのチケット
ハイシーズンに開催される噴水ショーや音楽の庭園を見学する場合は、庭園専用のチケットも購入できます。
一方、ローシーズンは庭園への入場が基本的に無料です。
ただし、特別イベントなどは条件が異なる場合があるため、訪問日ごとの案内を確認してください。
オーディオガイドの料金
ヴェルサイユ宮殿では、展示や歴史について詳しく知りたい方に向けて、オーディオガイドを用意しています。
料金は宮殿のみが5€、トリアノンの離宮のみが5€、両方を利用する場合は8€です。
日本語にも対応しているため、宮殿の歴史や見どころをより深く理解したい方におすすめです。
オーディオガイドは入場チケットとは別料金で、公式サイトから事前に予約するか、現地で借りることができます。
また、無料の公式アプリでも音声ガイドを利用できます。
詳しくは、訪問前に公式サイトでご確認ください。
チケットの購入方法
チケットはヴェルサイユ宮殿の公式サイトのほか、現地のチケット売り場や下記の旅行予約サイトで購入できます。
宮殿への入場には時間指定の予約が必要です。
オンラインで事前に購入すると、指定した時間枠に合わせて入場できるため、訪問日が決まったら早めに予約しておくと安心です。
*ヴェルサイユ宮殿の公式サイトで購入(英語・フランス語)
*GetYourGuideでオンライン購入(日本語)
*Tiqetsでオンライン購入(日本語)
*Klookでオンライン購入(日本語)
*楽天トラベル観光体験でオンライン購入(日本語)
*パリミュージアムパスを購入
*現地で購入
購入手順は次のとおりです。
- ヴェルサイユ宮殿の公式チケットサイトにアクセスする
- 訪問日を選択する
- 希望するチケットの種類を選ぶ
- 宮殿の入場時間を指定する
- 必要事項を入力して購入する
購入したチケットは、スマートフォンの画面または印刷したものを提示できます。
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パリミュージアムパス(Paris Museum Pass)
エトワール凱旋門やサント・シャペル、ヴェルサイユ宮殿など、
パリ市内と近郊の50ヶ所以上の美術館・観光施設で利用できる観光パスです。
ヴェルサイユ宮殿も対象施設ですが、
パリミュージアムパスを持っている場合でも、
宮殿への入場には無料の「パスポートチケット」と日時指定の予約が必要です。
パリミュージアムパスの対象施設や料金、購入方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
チケット選びのポイント
どのチケットを選ぶか迷ったら、見学したい場所と滞在時間を基準に考えましょう。
- 宮殿・庭園・離宮をまとめて巡りたい方→パスポート
- 離宮とその庭園を中心に見学したい方→トリアノンの離宮のチケット
- 庭園の噴水ショーや音楽の庭園だけを楽しみたい方→庭園専用チケット
なお、パリミュージアムパスを持っている場合も宮殿を訪問するには、公式サイトで無料のパスポートチケットを取得する必要があります。
訪問日時の予約を忘れないようにしましょう。
料金や入場条件は変更される場合があるため、購入前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
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プチ・トランの料金・ルート
ヴェルサイユ宮殿の敷地は広大なため、宮殿から離れたトリアノンの離宮やグラン・カナルへ移動する際には、敷地内を走るミニ列車「Petit Train」を利用すると便利です。
プチ・トランは宮殿を出発し、グラン・カナル(大運河)、グラン・トリアノン、プチ・トリアノンを経由して宮殿に戻るルートで運行しています。

【プチ・トランの料金】
大人9€
子供(11〜18歳)7€
宮殿への片道乗車券5€
※途中の停留所で下車し、後続のプチ・トランに再乗車できます。
【営業時間】月曜定休
※運行時間は季節や日によって変更される場合があります。
〈1月〜3月〉11:10-17:10
〈4月〜6月〉11:10-18:10
〈7月〜8月〉10:00-18:10
〈9月〜10月〉11:10-18:10
〈11月〜12月〉11:10-17:10
ヴェルサイユ宮殿の入場方法


ヴェルサイユ宮殿の正門から敷地内に入ると、まず簡単なセキュリティチェックがあります。
当日券を購入する方は、チェック通過後、中庭の左側にあるミニストル翼のチケット販売窓口でチケットを購入しましょう。

チケットを購入済みの方は、個人見学者用の「入口A(Entrée A)」へ進みます。
入口でチケットを提示し、セキュリティチェックを受けて宮殿内へ入ります。
宮殿内にはインフォメーションがあり、日本語の観光マップも用意されているので、忘れずに入手しておきましょう。
その後、王の中庭へ進み、いよいよ宮殿内の見学がスタートします。
ヴェルサイユ宮殿の見どころ

太陽王ルイ14世によって壮麗な宮殿へと整備されたヴェルサイユ宮殿は、フランス絶対王政の栄華を象徴する建造物です。
宮殿の建築にはルイ・ル・ヴォー、室内装飾にはシャルル・ル・ブラン、庭園の造園にはアンドレ・ル・ノートルが起用され、建築と芸術が融合した華麗な空間が生み出されました。
1682年、ルイ14世は王宮をヴェルサイユに移し、宮殿はフランス革命が始まった1789年まで王政の中心として機能しました。
同年10月、国王一家はパリへ移送され、宮殿での王宮生活に幕が下ろされました。
現在も残る壮麗な宮殿と美しい庭園は、ブルボン王朝の栄華を今に伝える歴史的遺産として、1979年にユネスコの世界遺産に登録されています。
鏡の間(Galerie des Glaces)

ヴェルサイユ宮殿最大の見どころのひとつが、豪華絢爛な装飾で知られる「鏡の間」です。
1678年から1684年にかけて建設され、建築はジュール・アルドゥアン・マンサール、天井画をはじめとする装飾はシャルル・ル・ブランが手がけました。
全長約73m、幅約10.5m、高さ約12.3mの壮大な空間には、アーチ型の窓と向かい合う壁面に鏡が並び、窓から差し込む光を反射して室内を華やかに照らします。
建築と絵画、鏡や金色の装飾が見事に調和した鏡の間は、ヴェルサイユ宮殿を代表する空間です。
また、1919年には第一次世界大戦を終結させるヴェルサイユ条約の調印式が行われた場所としても知られています。


鏡の間の北側には「戦争の間」、南側には「平和の間」が隣接しています。
戦争の間は、ルイ14世の軍事的勝利を称える装飾が施された部屋で、中央にはルイ14世の騎馬姿を表したレリーフがあります。
一方、平和の間は戦争の間と対をなす部屋で、平和や繁栄を象徴する装飾が特徴です。
王の寝室(Chambre du Roi)

金色を基調とした豪華な装飾が目を引く「王の寝室」は、ヴェルサイユ宮殿の中心部に位置しています。
もともとは国王と王妃が使用する広間でしたが、王妃マリー・テレーズの死後、ルイ14世は1701年にこの部屋を王の寝室と定めました。
以降、国王が起床・就寝する際には、宮廷の人々が立ち会う儀式が行われました。
ルイ14世は1715年9月1日、この部屋で息を引き取りました。
その後もルイ15世、ルイ16世が寝室として使用しています。


フランス革命期の1789年10月6日には、ヴェルサイユ宮殿に押し寄せた群衆を前に、ルイ16世とマリー・アントワネットがこの部屋のバルコニーに姿を現しました。
同日、国王一家は民衆に伴われてヴェルサイユを離れ、パリへ移りました。
王の寝室は、フランス王室の華やかな宮廷生活と王政が大きく揺らいだ激動の歴史を今に伝える場所です。
王妃の寝室(Chambre de la Reine)

王妃の寝室は、ルイ14世の王妃マリー・テレーズが使用した部屋です。
その後、ルイ15世の王妃マリー・レクザンスカ、そして1770年から1789年までルイ16世の王妃マリー・アントワネットが使用しました。
当時の宮廷では、王妃の起床や就寝といった日常生活も宮廷儀礼の一部とされ、多くの人々がその様子を見守る習慣がありました。
王妃の出産も宮廷の重要な儀式とされ、この部屋では王子や王女が誕生しています。
また、この寝室には隠し扉が設けられています。
1789年10月6日、群衆がヴェルサイユ宮殿に侵入した際、マリー・アントワネットはこの扉を通って王の寝室へ逃れたと伝えられています。
華やかな装飾の奥には、王妃の日常生活やフランス革命の緊迫した出来事にまつわる歴史が刻まれています。


王妃の寝室の周囲には、王妃の大居室を構成する部屋が続いています。
「貴人の間」は、王妃が公式に人々と謁見するために使われた部屋です。
また、「大膳式の間」では、王と王妃が宮廷の人々の前で食事をする公式な儀式「大膳式」が行われていました。
1764年1月1日には、ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの大膳式にモーツァルト一家が招かれ、7歳のモーツァルトは王妃の隣に立って会話を交わしました。
王室礼拝堂(Chapelle royale)


王室礼拝堂は、フランス王家とゆかりの深い聖ルイに捧げられた礼拝堂です。
建築家ジュール・アルドゥアン・マンサールの設計により建設が進められ、1710年に完成しました。
内部では、三位一体をテーマにした壮麗な天井画やロベール・クリコが手がけたパイプオルガンが目を引きます。
礼拝堂は上下2層の構造になっており、上階は国王や王族、宮廷の要人が礼拝に使用し、下階は宮廷に仕える人々などが利用しました。
1770年には、ルイ15世の孫であるルイ・オーギュスト(のちのルイ16世)とオーストリアのマリア・テレジア女帝の娘マリー・アントワネットの結婚式が、この礼拝堂で執り行われました。
この婚姻は、フランスのブルボン家とオーストリアのハプスブルク家との同盟関係を強めるものでした。
華麗な建築や宗教芸術だけでなく、ヨーロッパ王室の歴史を感じられる場所でもあります。
ヘラクレスの間(Salon d’Hercule)


もとは宮殿の礼拝堂があった場所で、1710年に現在の王室礼拝堂が完成した後、新たなサロンが設けられました。
1730年には、ヴェネツィア共和国からルイ14世に贈られたパオロ・ヴェロネーゼの巨大絵画《パリサイ人シモン家の宴》がこの部屋に飾られました。
天井には、フランソワ・ルモワーヌが1736年に完成させた大作《ヘラクレスの神格化》が描かれています。
この天井画にちなんで、ヘラクレスの間と名付けられました。
王の大居室(Grand Appartement du Roi)
王の大居室は、ルイ14世の公式行事や宮廷の夜会などに使われた豪華な装飾が施された部屋が連なる空間です。
ヘラクレスの間に続く6つの部屋は、惑星やそれにちなんだ神々をテーマに装飾されています。

最初の「豊穣の間」は、ルイ14世の珍品陳列室へ続く前室として使われていました。
奥の珍品陳列室には、金で装飾された花瓶やダイヤモンド、エメラルド、翡翠、真珠、中国や日本の磁器など、王の貴重なコレクションが収蔵されていました。
また、宮廷の夜会では、コーヒーやワイン、リキュールなどの飲み物が振る舞われる場所でもありました。

続く「ヴィーナスの間」は、かつて大居室への主要な入口として使われていました。
宮廷の夜会では、テーブルに花籠や果物が並べられ、オレンジやレモンなどの果物、砂糖漬けの果物、マジパンなどが振る舞われました。
天井には、ルネ・アントワーヌ・ウアスが描いた《神々と強大国を帝国に従わせるヴィーナス》があり、窓側にはジャン・ヴァラン作の《ローマ皇帝姿のルイ14世像》が飾られています。

「メルクリウスの間」は、王の盛儀用の寝室として設けられた部屋です。
1700年にスペイン王フェリペ5世となったアンジュー公フィリップが、スペインへ向かうまでの3週間をここで過ごしました。
天井には、ジャン・バティスト・ド・シャンパーニュ作の《2羽の雄鶏に引かれた戦車に乗るメルクリウス》が描かれています。
また、1715年9月2日から10日まで、ルイ14世の遺体がこの部屋に安置されました。

最後の「アポロンの間」は、太陽神アポロンをテーマにした華麗なサロンです。
太陽神アポロンは、太陽王と呼ばれたルイ14世の象徴でもあり、この部屋には王の権威を表す装飾が施されています。
天井中央には、シャルル・ド・ラ・フォスが描いた《アポロンの戦車》があり、四季を従えて戦車を駆る太陽神の姿が描かれています。
もともとは国王の盛儀用の寝室として設けられましたが、1682年から玉座の間として使われるようになりました。
天井画の下には、かつてルイ14世の銀製の玉座が置かれていました。
ルイ14世の権威と宮廷文化を感じられるヴェルサイユ宮殿の見どころのひとつです。
ヴェルサイユ宮殿のフランス式庭園

「フランス式庭園の傑作」と称されるヴェルサイユ宮殿の庭園を手がけたのは、ヴォー・ル・ヴィコント城の庭園やパリのチュイルリー庭園なども手がけた造園家アンドレ・ル・ノートルです。
フランス式庭園は、左右対称の幾何学的な構成を特徴とする庭園様式です。
美しく刈り込まれた木々や整然と配置された花壇、噴水、彫刻などが織りなす景観は、自然と人間の技術が融合した造形美を生み出しています。
ルイ14世は庭園の造営にも深く関わり、噴水や水景にも強いこだわりを持っていました。
しかし、ヴェルサイユ周辺は水資源に乏しく、数多くの噴水を稼働させるための水の確保は大きな課題でした。
そこで、セーヌ川から水をくみ上げるために建設されたのが、当時の水利技術の結晶ともいえる巨大な揚水装置「マルリーの機械」です。
1682年に建設が始まり、1685年には揚水が開始されました。
こうした大規模な水利施設によって、王が思い描いた壮大な庭園の実現が支えられたのです。
ヴェルサイユ宮殿の庭園は、王族や宮廷の人々が散策や祝祭を楽しむ場であると同時に、自然を巧みに制御する技術と王権の威光を示す場でもありました。
ラトナの噴水(Bassin de Latone)

ヴェルサイユ宮殿の庭園を代表する噴水のひとつが、ギリシャ神話を題材にした「ラトナの噴水」です。
太陽神アポロンを自らの象徴としていたルイ14世は、庭園の装飾にもアポロンにまつわる物語を取り入れました。
ラトナはアポロンとディアナの母で、ローマ神話ではジュピターの妻ユーノーの嫉妬を受け、各地を逃れたとされています。
その途中、ラトナは子どもたちと共にリュキアに立ち寄り、喉の渇きを癒やそうと沼の水を飲もうとしました。
しかし、村人たちはそれを妨げ、ラトナの願いを聞き入れませんでした。
怒ったラトナはジュピターに助けを求め、村人たちは蛙やトカゲに姿を変えられてしまいます。
この神話の一場面を表現したのが、ラトナの噴水です。
中央にはラトナと幼いアポロン、ディアナの彫像が置かれ、その周囲には蛙やトカゲへと変身していく村人たちの姿が表現されています。
金色に輝く彫像と水の演出が、神話の物語を生き生きと伝えています。
ルイ14世が自らを重ね合わせた太陽神アポロンを守る母ラトナの物語は、王権の威光を象徴する庭園装飾のひとつでもあります。
アポロンの噴水(Bassin d’Apollon)

アポロンの噴水は、太陽王ルイ14世が自らの象徴とした太陽神アポロンを題材にしたヴェルサイユ宮殿の庭園を代表する噴水のひとつです。
もともと「白鳥の池」と呼ばれていた場所に造られ、中央には、4頭の馬が引く戦車に乗って水面から姿を現すアポロンの彫像が置かれています。
太陽神アポロンが天空を駆ける姿を表現した、躍動感あふれる作品です。
ヴェルサイユ宮殿の庭園には、ギリシャ・ローマ神話を題材にした噴水や彫像が数多く配置されており、王の権威や太陽神アポロンへの崇拝が庭園全体の装飾に反映されています。
また、庭園では例年春から秋にかけて、音楽に合わせて噴水が水を噴き上げる「大噴水ショー」や音楽を楽しみながら庭園を散策できる「音楽の庭園」が開催されます。
これらのイベントは通常の庭園入場とは異なり、別途チケットが必要となる場合があります。
開催日や料金は訪問前に公式サイトで確認しましょう。
グラン・カナル(大運河)

ヴェルサイユ宮殿の庭園の奥に広がる「グラン・カナル(大運河)」は、造園家アンドレ・ル・ノートルが設計した壮大な水景です。
1668年から1679年にかけて造られた大運河は、東西約1,670mにわたって伸び、庭園に雄大な眺望を生み出しています。
広大な敷地を生かした直線的な水路は、フランス式庭園ならではの幾何学的な構成と遠くまで続く美しい景観を際立たせています。
水辺を散策しながら庭園の雄大な景色を楽しめるほか、貸しボートに乗って水上から眺めることもできます。
宮殿や噴水の華やかさとはまた違う、開放感あふれる景観を楽しめる場所です。
離宮(トリアノン)と王妃の村里


ヴェルサイユ宮殿の中心部から少し離れた場所には、グラン・トリアノンやプチ・トリアノンといった離宮、そして「王妃の村里」があります。
グラン・トリアノンはルイ14世が築いた離宮で、プチ・トリアノンはマリー・アントワネットが愛した小宮殿です。
その近くには、彼女が田園生活に憧れて造らせた「王妃の村里」が広がっています。
それぞれ異なる魅力を持つ離宮や村里については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ヴェルサイユ宮殿への行き方
ヴェルサイユ宮殿は、パリから電車でアクセスできます。
主な交通手段は、RER C線とSNCF(フランス国鉄)の近郊列車です。
最寄り駅は3ヶ所あり、利用する路線によって到着駅や宮殿までの徒歩時間が異なります。
出発地や観光プランに合わせて、利用しやすいルートを選びましょう。
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日本語対応・日本円での支払いが可能
RERで行く場合
パリ市内からRER C線に乗車し、Versailles Château Rive Gauche駅で下車します。
所要時間:パリ市内から約30〜40分(乗車駅によって異なります)
駅から宮殿まで:徒歩約10分
宮殿の正面入口に近い駅なので、初めて訪れる方にもわかりやすいルートです。
Transilien(フランス国鉄の近郊列車)で行く場合
①モンパルナス駅から
パリ・モンパルナス駅からTransilien N線に乗車し、Versailles Chantiers駅で下車します。
所要時間:約20分
駅から宮殿まで:徒歩約18分
②サン・ラザール駅から
パリ・サン・ラザール駅からTransilien L線に乗車し、Versailles Rive Droite駅で下車します。
所要時間:約35分
駅から宮殿まで:徒歩約17分
いずれも、駅から宮殿までは徒歩で移動します。
電車の所要時間や運行状況は、出発前に確認しておきましょう。
車(レンタカー)で行く場合
パリからヴェルサイユ宮殿までは、車でもアクセスできます。
所要時間はパリ市内から約30〜40分が目安ですが、交通状況によって異なります。
宮殿周辺には有料駐車場がありますが、観光シーズンは混雑することもあるため、時間に余裕を持って出発しましょう。
フランスでレンタカーを利用する場合は、必要な運転免許証や書類を事前に準備しておきましょう。
レンタカー会社によって利用条件が異なるため、予約前に必要書類や年齢条件、保険内容などを確認しておくと安心です。
料金や保険内容を比較して、自分に合ったレンタカープランを探してみましょう。
レンタカーを利用する方は、Booking.comで料金や車種を比較してみましょう。
ヴェルサイユ宮殿観光の所要時間と回り方

ヴェルサイユ宮殿は見どころが多く、宮殿や庭園、トリアノンの離宮までじっくり見学するなら、丸一日かかります。
宮殿内の見学だけであれば、所要時間は1時間30分〜2時間程が目安です。
庭園やトリアノンの離宮、王妃の村里まで訪れる場合は、見学時間に加えて、各スポット間の移動時間も必要になります。
限られた時間で観光する場合は、見学したい場所をあらかじめ決めておくと効率よく回れます。
ヴェルサイユ宮殿を満喫するためにも、時間に余裕をもって観光することをおすすめします!
ヴェルサイユ宮殿のお土産ショップ

ヴェルサイユ宮殿は、お土産ショップが充実しています!


マリー・アントワネットにちなんだ雑貨をはじめ、宮殿の装飾や歴史をテーマにしたオリジナルグッズなど、ヴェルサイユ宮殿ならではの商品がそろっています。


ヴェルサイユ宮殿を訪れた記念にお気に入りのお土産を探してみてはいかがでしょうか♪
ヴェルサイユ宮殿のレストラン

ヴェルサイユ宮殿には、フランス料理界の巨匠アラン・デュカスが手がけるレストラン「ORE」があります。
宮殿の中庭を眺めながら、フランス料理やスイーツを楽しめる優雅なひとときにぴったりのレストランです❤️
食事を予定している方は、事前に予約しておくと安心です。
ヴェルサイユ宮殿の歴史

ヴェルサイユ宮殿は、フランス王政の栄華を象徴する壮大な宮殿です。
ルイ14世の時代に大きく発展し、フランス革命によって王宮としての役割を終えた後もフランスの歴史を語る上で重要な舞台となりました。
ここでは、ヴェルサイユ宮殿の誕生から近代に至るまでの歴史を主な出来事とともに簡単にご紹介します。
ルイ14世と宮殿の建設

もともとヴェルサイユ宮殿は、ルイ13世が狩猟のために建てた小さな館から始まりました。
その息子であるルイ14世(太陽王)は、1661年から大規模な改築・拡張工事を進め、建築家ルイ・ル・ヴォー、庭園設計家アンドレ・ル・ノートル、画家シャルル・ル・ブランらを起用して、壮大な宮殿と庭園を造り上げていきました。
1682年、ルイ14世は宮廷と政府をヴェルサイユに移し、宮殿はフランスの政治の中心地となります。
王族の居住地であると同時に、貴族や政府の要人が集まる政治・社交の場としても栄えました。
現在の宮殿には約2,300の部屋があり、フランス王政の栄華を今に伝えています。
フランス革命と王宮としての役割の終焉

1789年にフランス革命が勃発すると、同年10月、ルイ16世とマリー・アントワネットは民衆によってヴェルサイユ宮殿からパリへ移されました。
これにより、ヴェルサイユ宮殿は王の居城としての役割を終え、フランス王政の大きな転換点を迎えることになります。
ヴェルサイユ条約の調印の地

1919年、第一次世界大戦後の講和条約であるヴェルサイユ条約が、ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」で調印されました。
かつてフランス王政の栄華を象徴した宮殿は、近代ヨーロッパの歴史を大きく動かす舞台にもなったのです。
ヴェルサイユに行くなら宿泊がおすすめ!
ヴェルサイユ宮殿はパリから日帰りでも訪れることができますが、宮殿や庭園、トリアノンの離宮などをじっくり見学したい方には、ヴェルサイユでの宿泊もおすすめです。
宮殿から徒歩圏内にあるおすすめホテルを下記の記事でご紹介しています。
ヴェルサイユでの宿泊をお考えの方は、ぜひ参考にしてください!
ヴェルサイユ宮殿観光でよくある質問(FAQ)
Q. ヴェルサイユ宮殿は予約なしでも入場できますか?
ヴェルサイユ宮殿は、時間指定のチケットを事前にオンラインで予約しておくのがおすすめです。
特に混雑する時期は、希望する時間に入場できるよう事前にチケットを予約しておきましょう。
当日券を購入できる場合もありますが、希望する時間に入場できるとは限らないため、事前予約がおすすめです。
Q. ヴェルサイユ宮殿の庭園は無料で入れますか?
庭園の入場料は、季節やイベントの開催日によって異なります。
通常、11月から3月までは無料で入園できますが、4月から10月は火曜日から日曜日の噴水ショーや音楽の庭園の開催日に入場料が必要です。
訪問日によって条件が異なるため、事前に公式サイトで確認しましょう。
Q. ヴェルサイユ宮殿の休館日はいつですか?
ヴェルサイユ宮殿とトリアノンの離宮は、毎週月曜日が休館日です。
また、1月1日、5月1日、12月25日も休館となります。
庭園や公園は開園日が異なるため、月曜日に訪れる場合は、見学できる場所を事前に確認しておきましょう。
Q. ヴェルサイユ宮殿は何時から入場できますか?
ヴェルサイユ宮殿の開館時間は、4月から10月が9:00〜18:30、11月から3月が9:00〜17:30です。
最終入場時間は閉館時間より早いため、余裕をもって到着しましょう。
なお、トリアノンの離宮は通常12:00から開館します。
季節や特別な事情によって変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ|ヴェルサイユ宮殿観光を楽しもう!
ルイ14世の時代に大規模な拡張工事が進められたヴェルサイユ宮殿は、フランス王政の栄華を象徴する壮大な宮殿です。
豪華絢爛な宮殿内部をはじめ、幾何学的に整えられた美しい庭園、マリー・アントワネットゆかりの離宮や王妃の村里など、見どころが数多くあります。
パリから日帰りでも訪れることができるので、フランス旅行の際は、ぜひヴェルサイユ宮殿を訪れ、歴史ある建築や美しい景観をじっくり楽しんでみてくださいね!






