南イタリア有数の商業都市として繁栄したポンペイは、ヴェスヴィオ山の大噴火により一夜のうちに消滅した街。
発掘調査により当時の人々の暮らしが少しずつ解き明かされ、南イタリアの人気観光スポットになっています。
この記事では、ポンペイ遺跡について詳しく解説していきます。
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ポンペイ(Pompei)とは

ポンペイは、南イタリアの中心となるカンパニア州にあります。
ナポリから東へ約20kmのところに位置し、かつては海に面した港街でした。
その地理的重要性から地中海貿易の中継地として、南イタリア有数の商業都市に発展しました。
当時、ポンペイには約2万人が住んでいたといわれています。

ヴェスヴィオ山の斜面では、ブドウの栽培が行われ、ワインの生産地としても知られていました。
紀元62年にポンペイは大地震に見舞われ、大きな被害を受けました。
復興事業が取り組まれている中、紀元79年に今度はヴェスヴィオ山の大噴火が起こりました。
一夜のうちに街は火砕流に飲み込まれ、住民もろとも街全体が消えてしまったのです。

1700年もの間、火山灰に埋没した古代都市ポンペイは人々の記憶から忘れ去られていましたが、16世紀に発見され、1748年から本格的な発掘調査が始まりました。
皮肉にも火山灰が遺跡の劣化を防ぎ、壁画や彫像、貴金属などの美術品は風化することなく、非常に良い保存状態で残されていました。


火山灰に埋もれた遺体は腐敗して、その部分に空洞ができていました。
そこに石膏を流し込むと、苦しみながら亡くなった犠牲者の姿が現れました。
実際それを目にすると、胸が張り裂けるような思いになります。
現在も発掘調査は続いており、ポンペイ遺跡はかつての様子をうかがい知ることのできる貴重な遺跡となっています。
1997年に「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域」として世界遺産に登録されました。
登録名 ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域
登録年 1997年
分類 文化遺産
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ポンペイ考古学公園(Parco Archeologico di Pompei)

ポンペイ遺跡は、ポンペイ考古学公園として一般公開されています。
地中に埋もれたかつての古代都市は綺麗に整備され、歩いて見学することができます。
発掘されたほとんどの美術品は、ナポリの国立考古学博物館に展示されていますので、お時間に余裕のある方は、あせて見学することをおすすめします。
ポンペイ遺跡は広大で見どころが多いため、事前に見学したい場所をチェックしておきましょう。
またたくさん歩くので、履き慣れた歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
ポンペイ考古学公園の基本情報

住所 | 80045 Pompei 地図 |
公式HP | https://pompeiisites.org/en/ |



営業時間
〈4月1日〜10月31日〉9:00-19:00(最終入場17:30)
〈11月1日〜3月31日〉9:00-17:00(最終入場15:30)
定休日
1月1日、5月1日、12月25日
料金

【Pompei+】 ポンペイ・プラス | 【Pompeii Express】 ポンペイ・エクスプレス | 【Pompeii 3 Days】 ポンペイ3日間 |
24時間有効 | 24時間有効 | 3日間有効 |
大人22€ 18〜24歳のEU圏国籍者2€ 18歳未満無料 | 大人18€ 18〜24歳のEU圏国籍者2€ 18歳未満無料 | 大人26€ 18〜24歳のEU圏国籍者2€ 18歳未満無料 |
古代都市ポンペイと郊外のヴィラ | 古代都市ポンペイ (郊外のヴィラは含まれません) | 古代都市ポンペイ+ポンペイ・プラスに含まれる郊外のヴィラ+その他* |
その他*:オプロンティス+ヴィラ・アリアンナ+ヴィラ・サンマルコ+リベロ・ドルシ博物館
◎毎月第1日曜日無料
チケットの購入方法
ポンペイ考古学公園のチケットは、公式サイトのTicketOneまたは現地で購入することができます。
公式サイトでは事前購入を推奨しています。
現地で購入する場合、マリーナ門、アンフィテアトロ広場、エセドラ広場の入り口3ヶ所にチケット売り場があります。
割引券(18〜24歳)および無料券(18歳未満)は事前購入ができないため、当日チケット売り場へ行き、身分証明書を提示の上、チケットをお求めください。
*TicketOneでオンライン購入(英語・イタリア語)
*GetYourGuideでオンライン購入(日本語)
*Tiqetsでオンライン購入(日本語)
*Klookでオンライン購入(日本語)
*KKdayでオンライン購入(日本語)
*現地で購入
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ポンペイ考古学公園への行き方
ポンペイ考古学公園は、ナポリからイタリア国鉄Trenitalia(トレニタリア)またはヴェスヴィオ周遊鉄道で行くことができます。
ポンペイ考古学公園へ行くのに1番便利なのは、ヴェスヴィオ周遊鉄道で行く方法です。
注意点として、ナポリからポンペイへ行く路線は2種類あります。
ポンペイ考古学公園へ行く場合、「ソレント行き」の電車に乗ってください。
日本からナポリへの行き方は、こちらの記事で詳しく説明しています。
ヴェスヴィオ周遊鉄道で行く場合
ナポリ中央駅からポンペイ・スカーヴィ(Pompei Scavi)駅下車
所要時間約30分 料金2.8€
ポンペイ・スカーヴィ駅からマリーナ門まで徒歩約1分
Trenitalia(トレニタリア)で行く場合
FS線でナポリ中央駅からポンペイ(Pompei)駅下車
所要時間約45分 料金2.4€
ポンペイ駅から1番近いポンペイ遺跡入り口のあるアンフィテアトロ広場まで徒歩約10分
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車で行く場合
ナポリから約30分
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ポンペイ考古学公園の入場方法

ポンペイ考古学公園の入り口は、以下の3ヶ所あります。
- マリーナ門(Porta Marina)
- エセドラ広場(Piazza Esedra)
- アンフィテアトロ広場(Piazza Anfiteatro)


ポンペイ考古学公園の所要時間

ポンペイ遺跡は広大で、じっくり見て回る場合、3日かかります。
見学スポットをある程度絞っても最低半日はかかりますので、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。
ポンペイ遺跡の見どころ

古代都市ポンペイは、計画的に設計された街。
フォロ(公共広場)を中心に神殿や市庁舎、市場、野外劇場、娼館、公共浴場など基盤目状に区画され、上下水道が整備されていました。

大きな通りは石で舗装され、車道と歩道に分かれていました。
豊かな暮らしを謳歌していた市民も多く、なかには奴隷の身分から解放されて自由人となり、事業を起こして成功した資産家もいました。
ポンペイ遺跡に展示されているモザイク画やフレスコ画、彫像のほとんどはレプリカで、オリジナルはナポリの国立考古学博物館に展示されています。
あわせて見学すると、ポンペイ遺跡についてより一層理解を深めることができます。
ここからは、ポンペイ遺跡を訪れたらぜひ訪れて欲しい必見スポットをご紹介していきます。
第VII地区

フォロ周辺は、見どころが集中するため1番混雑するエリアです。
マリーナ門(Porta Marina)

マリーナ門はポンペイの7つの門のひとつで、西側からポンペイの街に入る入り口でした。
近くに港があったことから、マリーナ門と名付けられました。
フォロ(Foro)


フォロはポンペイの政治・宗教・経済の中心となっていた大広場で、周囲にはジュピター神殿やアポロ神殿、バジリカ、マケルム(市場)などの建物が並びます。
フォロ周辺はポンペイで最も古いエリアになっており、街はここから拡大していきました。
フォロから北西のエルコラーノ門にかけては高級住宅街で、ファウヌスの家やヴェッティの家などの豪邸が点在します。
フォロの先にはヴェスヴィオ山を望むことができます。
アポロ神殿(Santuario di Apollo)

太陽神アポロの神殿で、紀元前6世紀創建のポンペイで最も古い建物です。


48本の円柱が並び、ブロンズ製のダイアナ像とアポロ像が向かい合って置かれています。
オリジナルはナポリ考古学博物館で見ることができます。
ジュピター神殿(Tempio di Giove)

全能の神ジュピーター(ゼウス)に捧げるジュピター神殿は、フォロの北側にあります。
ジュピター神殿の後ろにはヴェスヴィオ山がそびえています。
ポンペイがローマ植民地都市になってからは、ジュピター、ユノー(ヘラ)、ミネルヴァ(アテネ)の三神の像が祀られました。
ウェスパシアーノ神殿(Tempio di Vespasiano)
フォロの東側に位置するウェスパシアーノ神殿は、ローマのコロッセオを着工した皇帝皇帝ウェスパシアヌスに捧げられた神殿です。
フォロの穀物倉庫(Granai del foro)

フォロの西側にあるフォロの穀物倉庫は、野菜と果物の市場として使われていた場所です。
現在は、ポンペイ遺跡で出土された鍋や水差し、大理石のテーブルなど日常生活で使われていたものが保管されています。
また石膏により復元された大噴火で犠牲になった人々や動物、樹木などの石膏が並べられており、強い衝撃を受けます。
公共浴場(Terme)
ポンペイには公共浴場が4ヶ所ありました。
- フォロ浴場(Terme del Foro)・・・エリアVII
- スタビアーネ浴場(Terme Stabiane)・・・エリアVII
- スブルバーネ浴場(Terme Suburbane)・・・エリアVII
- 中央浴場(Terme Centrali)・・・エリアIX
【フォロ浴場】脱衣所と中温・高温の浴場
【スタビアーネ浴場】脱衣所と低温・中温・高温の浴場
【スブルバーネ浴場】温水プール付きの外壁にまたがった私設の浴場
【中央浴場】ポンペイで最大規模の浴場
アッポンダンツァ通り(Via dell’abbondanza)

第I地区と第I X地区の境界にあるアッポンダンツァ通りは、フォロの南側から東に位置するサルノ門までの長い通りです。
商店街になっており、通りの両脇には商店が軒を連ねています。

車道と歩道に分かれており、車道には飛び石が置かれ、横断歩道の役割を果たしていました。
第I地区

このエリアは商店街で、さまざまな店が軒を連ねていました。
テルモポリウム(Casa e Thermopolium di Vetutius Placidus)


アッポンダンツァ通りに面したテルモポリウムは、暖かい食べ物と飲み物を提供していました。
テルモポリウムは当時の人々に人気が高く、ポンペイだけでも80店ほどありました。
第II地区

街の東外れに位置し、円形闘技場や大運動場などがありました。
貝のヴィーナスの家(Casa della Venere in Conchiglia)

貝のヴィーナスの家では、非常に保存状態の良いフレスコ画が見つかっています。
愛の女神ヴィーナス(ウエヌス)はポンペイの守護神で、壁画には貝の中に横たわるヴィーナスとその子供クピド(キューピッド)が描かれています。
円形闘技場(Anfiteatro)

円形闘技場は、ローマのコロッセオと同じように剣闘士たちの試合が開催されていた場所です。
ポンペイ市民だけでなく、周辺地域からやってくる観客2万人を収容することができました。
混雑を避けるため、街の外れに建てられました。
紀元59年、熱狂したポンペイ市民と隣町ノチェーラ市民との間で流血事件が起こりました。
この暴動騒ぎの後、円形闘技場は10年間の営業停止となりましたが、62年に起きた地震で街が大きな被害を受けると、この命令は撤回されました。
すぐ隣には大運動場(Palestra Grande)があり、中央にはプールもありました。
第VI地区

第VI地区は高級住宅街で、裕福層が集まっていたエリアです。
悲劇詩人の家(Casa del Poeta Tragico)

家の名前は、悲劇詩人のモザイク画が見つかったことに由来します。
玄関の床絵が有名で、ラテン語で「CAVE CANEM(猛犬注意)」と刻まれた犬のモザイク画があります。
ファウノ(ファウヌス)の家(Casa del Fauno)

ポンペイきっての大富豪で、敷地面積が約3000㎡の大豪邸です。

アトリウムには、有名な彫刻《踊るファウヌス》のレプリカ置かれています。

またヘレニズム美術屈指のモザイク画《アレクサンドロスとイッソスの戦い》もこの邸宅から発見されました。
《踊るファウヌス》と《アレクサンドロスとイッソスの戦い》のオリジナルは、ナポリの国立考古学博物館に展示されています。
小さな噴水の家(Casa della Fontana Piccola)

小さな噴水の家には中庭があり、中央のモザイクと貝殻で装飾された小さな噴水が見どころとなっています。
風景画で飾られた美しい壁画も必見です。
ヴェッティの家(Casa del Vettii)

ヴェッティの家は、奴隷出身の自由民で、商いで財を成した兄弟が所有していました。


玄関の壁には、豊穣と生殖の神プリアポスのフレスコ画が飾られています。
エルコラーノの門(Porta Ercolano)

エルコラーノの門は、エルコラーノへ向かう道に続いていたことから現在の呼び名がつけられました。
墓所の道(Via delle Tombe)


エルコラーノの門を抜けると、通りの両側に立派な墓所が並ぶ「墓所の道」が続きます。
ディオメデ荘(Villa di Diomede)

ディオメデ荘は初期に発掘された遺跡のひとつで、貴族の別荘でした。

敷地面積が約3500㎡ある大豪邸で、庭園にはプールを備えていました。
秘儀荘(Villa dei Misteri)

ポンペイ遺跡の大邸宅の中でも特に必見なのが秘儀荘です。
大小60の部屋からなる邸宅で、中心部から少し離れた場所にあります。
邸宅の名前は「秘儀の間」に由来しています。

「秘儀の間」には、三方の壁面に描かれたフレスコ画《ディオニュソスの秘儀》があります。
一連の宗教儀式の様子を描いたもので、背景の鮮やかな赤色は「ポンペイの赤」と呼ばれています。
第VIII地区

フォロの南側に位置するエリアで、バジリカや劇場などがありました。
バジリカ(Basilica)

アポロ神殿と道を挟んだ向かい側にはバジリカがあります。
バジリカはフォロ同様にポンペイで極めて重要な役割を果たしていた場所で、裁判や商取引などが行われていました。
大劇場(Teatro Grande)

大劇場は5,000人を収容できる野外劇場で、丘の傾斜を利用して建設されています。
身分ごとに座席が決まっており、上流階級の人々の座席は大理石で作られていました。
小劇場(Teatro Piccolo)

大劇場のすぐ隣には、1,000人を収容できる小劇場があります。
小劇場は「オデオン座」と呼ばれた屋内劇場でした。
劇場回廊/剣闘士の兵舎(Quadriportico dei teatri)

劇場回廊は、幕間に観客が休憩するための場所でした。
74本のドーリア式の列柱が並ぶ美しい回廊です。
紀元62年の地震後は、建物の一部を再整備して、剣闘士たちの兵舎として使われました。
イシス神殿(Tempio di Iside)

イシス神殿はエジプトの女神イシスを祀った神殿で、ポンペイ遺跡で発見された神殿の中で最も良く保存されています。
62年の地震後、裕福な自由市民ヌメリオ・ポピディオ・アンプリアートの寄贈によって再建されました。
ポンペイ考古学公園内のカフェとレストラン
ポンペイ考古学公園内にはカフェやレストランがあるので、休憩したいときや食事を取りたいときに便利です。
お昼を挟む場合は、再入場ができないためポンペイ考古学公園内のレストランを利用しましょう。
カフェやレストランの場所については、ポンペイ考古学公園マップでご確認ください。
ポンペイ考古学公園内のトイレ
トイレはエリアごとに用意されているので、特に心配ありません。
こちらもポンペイ考古学公園マップで確認することができます。
イタリア旅行に必須の通信手段

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まとめ
高度な文明を持った古代都市ポンペイの遺跡は、都市の繁栄と豊かな市民生活をうかがうことのできるイタリアの世界遺産の中でも貴重な存在です。
そんなポンペイに思いを馳せながら、2000年前の古代都市にタイムスリップしてみませんか。